光カートリッジ

なおStudyする




・DL−103Rを聴く。



・無論、シェルに取り付けた2SK97で、カートリッジから電流伝送。
・それを受けるのが、簡素型無帰還IVC型MCプリアンプ。



・いくつもある。



・光カートリッジ用プリアンプをもう1台作るとなれば、これらDL−103用の簡素型無帰還IVC型MCプリアンプのどれかを廃用にして、台数を減らさないといけない。



・ので、先ずはこれらでDL−103Rを聴く。
・パワーIVCは、バッテリードライブのTR 2SA627−2SD188パワーアンプ兼パワーIVC。
・電流伝送で聴くDL−103R、簡素型無帰還IVC型MCプリアンプ、そしてパワーIVC。






・電流伝送、伊達ではない。今更だが素晴らしい音がする。






・もし光カートリッジがないとすれば、これ程のものは他にはない。






・光カートリッジと比べれば、音がやや太くメリハリがしっかりした感じ。






・が、これも命と情。目に涙が滲む。
結局、私の簡素型無帰還IVC型MCプリアンプ達、廃用はあまりに忍びない。
・やむを得ない。


・光カートリッジ用プリアンプは増設としよう。


が、簡素型無帰還IVC型MCプリアンプはどれも残す代わりに、この際、ヘッドフォン専用アンプの実験の最終形を廃用にする。


・2000年以来のヘッドフォン専用アンプはこれにて終焉。


・無論、活用できる部品は再利用する。


・さらに、同じタカチのOS49−26−33BXをケースに使用している電圧伝送時代のチャンネルデバイダーも廃用とし、そのケース等も再利用する。

・結果、



・ヘッドフォン専用アンプから電源部は殆どそのまま再利用して、AC電源方式の光カートリッジ用プリアンプとなった。


・電源部の関係もあり、いつものような基板吊り下げ式は採用せず、底板に取り付ける方式とした。



このケースを使っていた電圧伝送時代のチャンネルデバイダーが2wayだったので、出力端子が2組ある。ので、1組を電圧出力ジャック、もう一組を電流出力ジャックとした。



・電源トランスが何となく違う。
・TK−P1ではなく、PHOENIXからRA20型でRコアトランスを入手した。






・2次電圧は14Vと、丁度よい電圧が得られるようにしたもの。

・全回路図はこう。

・AC電源方式であることを除けば、基本的に前回の光カートリッジ用プリアンプと同じ。

・が、ところどころ違うところがある。のは、半導体や進の抵抗など在庫の尽きたものに代えて、まだ在庫のあるものや入手できるものを使っているので。

・光カートリッジの電源であるLM317の出力を8Vと10Vの切りかえ式にし、これに連動して、LM337の出力供給兼IVC抵抗も10KΩと8.2kΩの切りかえ式にしているのは、勿論第3世代のDS−003に加えて、前世代のDS−E1も手元にあるので、それら双方に対応するため。

・また、ラインアンプ兼ヘッドフォンアンプの電圧出力に100Ω抵抗がシリーズに入っている。のは、6m程度のピンコードを繋いだ際に発振する(五感で分かる現象的にはノイズが出る)のを防止するため。6m程度のピンコードの容量はそれなりに大きい訳だ。が、これがないとボリューム中心程度以上で発振が始まる理屈が良く分からない。し、前回のバッテリードライブ光カートリッジ用プリアンプではそれで問題がないのだから、何とも難しいものだ。
 
・Lチャンネル反転基盤。



・表の6,500pFにパラとなる裏のSEコンは、300pFが尽きたので330pFで代用。



*SE20pFが、方向性が逆で取り付けられています。後で直しました。
・その周波数特性を観る。
・ゲイン−周波数特性。



・赤のオープンゲインは、低域で67.56dB。



・青のループゲイイン≒NFB量は、低域で53.9dB程度。



緑のクローズドゲインは、10Hzで△0.3dB、50Hzで10.76dB、100Hzで12.8dB、500Hzで16.3dB、1kHzで19.6dB、5kHzで25.0dB、10kHzで25.4dB、50kHzで25.6dB、100kHzで25.5dB。
・反転イコライザーの歪率を観る。



・負荷は10kΩ。
・100kHzも含めて素晴らしい低歪率。



・最大出力としては、9Vと言ったところ。
・Rチャンネル非反転基盤。
・その周波数特性を観る。
・ゲイン−周波数特性。



・赤のオープンゲインは、低域で67.60dB。



・青のループゲイイン≒NFB量は、低域で53.97dB。



緑のクローズドゲインは、10Hzで△0.24dB、50Hzで10.79dB、100Hzで12.85dB、500Hzで16.3dB、1kHzで19.6dB、5kHzで24.93dB、10kHzで25.4dB、50kHzで25.5dB、100kHzで25.5dB。
・ラインアンプ兼ヘッドフォンアンプ基盤。
・その周波数特性を観る。
・そのゲイン−周波数特性。



・パラメトリック解析で、赤のオープンゲインと青のループゲインは、下から負荷が30Ω、60Ω、120Ω、240Ω、480Ω、100kΩ(負荷オープン相当)の場合。



・緑のクローズドゲインは低域で20.8dB程度。



・赤のオープンゲインは、負荷30Ωで57.1dB、60Ωで63.0dB、120Ωで68.7dB、240Ωで74.2dB、480Ωで79.3dB、100kΩ(負荷オープン相当)で92.9dB。



・青のループゲインは、負荷30Ωで36.3dB、60Ωで42.2dB、120Ωで47.9dB、240Ωで53.4dB、480Ωで58.5dB、100kΩ(負荷オープン相当)で72.0dB。

・LTspiceでその100kHz方形波応答を占う。



・入力は±1V。最大出力付近での応答を観る。



・負荷を30Ω、60Ω、120Ω、240Ω。480Ω、100kΩ(負荷オープン相当)にした場合のパラメトリック解析。
・下が出力波形。



・上が終段Q12 2SC959とQ13 2SA606のコレクタ電流波形。



・負荷が30Ωの場合の最大出力が、他の負荷の場合より低く10V程度に止まっており、多少のオーバーシュートもある。



・Q12=2SC959の出力電流も、320mAを超えたところでオーバーシュートがある。



・のは、終段プッシュプルエミッタフォロアのエミッタ抵抗に生じる電圧降下のために、負荷30Ωでの最大出力が、他の負荷の場合よりも制限されてしまうため。なので、何も問題はない。



・要するに非常に綺麗な方形波応答。
・ラインアンプ兼ヘッドフォンアンプの歪率を観る。



・負荷はヘッドフォンにHD600を使用するイメージで300Ω。
・これも、素晴らしい低歪率。



・300Ω負荷でもかなりの低歪率。



・最大出力は8Vといったところ。

・音はどうか。

 
・早速DS−003で聴く。





・今度は電流出力ジャックを設けたので、パワーアンプ兼パワーIVCとは電流伝送で接続して試聴。





・同じケース内で、プリアンプの直近にトランス他AC電源部があるので、ハム等の雑音に見舞われないか?と危惧はあったのだが、上で記した6m程度超のピンコードを繋いだ際の発振(実際に聞こえるのはノイズ)を上手く解消した以外では、ハムも極小で、先に拵えたバッテリードライブの光カートリッジ用プリアンプと変わらない静けさ。





・音は、素晴らしい。





・空間の透明性、音の実在感、何も言うことがない。





・聴くことが楽しい。
 




2024年5月5日








その後




・上に記した通り、電圧出力に6m程度のピンコードを繋いだ際に、ボリュームを半分程度以上にすると発振する(実際にはノイズが出る)のを防止するため、ラインアンプ兼ヘッドフォンアンプの電圧出力に100Ω抵抗がシリーズに入れていた。

・現象としては、さらにボリュームを上げると、パワーアンプ兼パワーIVCの保護回路が働いてしまう。

・が、結局のところ、電圧出力に100Ω抵抗をシリーズに入れても、解決しないのだった。

・要すれば、原因を正しく把握出来ていなかった。

・ボリュームを中心付近まで上げなければ、音は聴けるし音量もまぁ十分なので、本当の原因を究明しないまま、今日まで来てしまった。

・が、パワーアンプ兼パワーIVCの保護回路が働いてしまうのはやはり煩わしい。

・原因を究明しよう。

・と、オシロで各部の動作状況を観る。

・何と、光カートリッジを接続していない状況で、イコライザー出力をオシロで観たところ、470kHz程度の正弦波が出ている。

・何だ?これは・・・

・このイコライザー出力の470kHz程度の正弦波がボリュームで減衰されてラインアンプ兼ヘッドフォンアンプで増幅され、それがパワーアンプ兼パワーIVCに送られ増幅される訳だが、ボリューム中心程度以上のときにパワーアンプ兼パワーIVCの保護回路の動作DC電圧か出力オーバーに達し、パワーアンプ兼パワーIVCの保護回路が働いてしまうのだろう。

・この際は出力ピンコードも繋いでいないので、やはり、長い出力ピンコードを要因として、この発振が生じている訳ではない。

・このため、最初にイコライザーが原因かと思いその位相補正を増やしてみたが状況に変化がない。

・ので、ラインアンプ兼ヘッドフォンアンプの位相補正も増やしてみたが状況に全く変化がない。

・もしやレギュレーターが発振しているのかとも思い、±15Vレギュレーターの位相補正措置も講じてみたが、やはり変化がない。

・と、色々やって多少手こずったが、
原因は究明した。
・結果、回路はこうなった。

・光カートリッジ用電源を、トランスの整流後部から取るのではなく、±15Vレギュレーター出力から取るようにした。要は、光カートリッジ用電源入力と±15Vレギュレーター入力をトランス整流後部からパラに取っていたのが要因だったのである。が、それでどうしてそうなるのかは知らない。し、なお不明な点もある。

ラインアンプ兼ヘッドフォンアンプの電圧出力にシリーズに入れていた100Ω抵抗は撤去した。

・上から俯瞰。






・回路図の通り、多少配線が変わっている。
   
・早速音を聴く。



・良い。



・更に音が近づいた。



・情が濃い。人肌を感じる。
   

・即、見直し、やはりラインアンプ兼ヘッドフォンアンプの電圧出力にシリーズに100Ω抵抗を入れた。

・のは、ラインアンプ兼ヘッドフォンアンプの電圧出力に6m程度のピンコードをつなぎ、ボリュームを半分程度以上上げると、何と、右のように1.4MHz程度の正弦波発振が出力に生じるのである。



・実際に音を出している際は、音量的にボリュームを半分まで上げることはないのだが、これは無視出来ない。



・ので、ラインアンプ兼ヘッドフォンアンプの電圧出力に、シリーズに100Ω抵抗を入れ直した。



・100Ω抵抗を入れておけば、この1.4MHz程度の正弦波発振は発生しない。

・エミッタフォロアは容量負荷に弱い。



・負荷に100pF、200pF、400pF、800pF、1600pFの容量負荷をパラにした場合の特性を観る。
・容量が増えるほどにMHz領域でピークが大きく生じる。



・これでは当然発振する。
・出力に100Ω抵抗を入れて同様に観る。
・MHz領域でのピークは全く生じない。
・スケルトン抵抗100Ωは、以前の位置に戻った。
   
・音は素晴らしい。



・深く、広く、厚く、情感にやられる



2025年8月5日